この記事の内容
よく「控除をすることで節税になる」というけど、どういう意味か分からない…。
ここでは所得税を減らすモトとなる「所得控除」の種類について解説🗣
支払う税金を少なくして、手取りを増やそう🙌
源泉徴収票のことを調べていると、「所得控除」を適用することで支払う税金が少なくなり、節税できるという話を見かけました。
でも、所得控除ってなんだろう…?
どんな種類があるんだろう…?
そもそも控除ってどういう意味なんだろう…?
所得控除は適用させればお得なのは分かりますが、最初はその意味が私にはさっぱり分かりませんでした。
そこで、この記事では、
- 所得控除とは何か?その意味は?
- 所得控除にはどのような種類があるのか
を解説していきます。
税金って少し難しいけど、仕組みを理解すると節税できて、結果的に手取りを増やすことが出来ます。所得控除の種類を知って、節税に役立てましょう。
Contents
「所得控除」とは?その意味は?
Point
「控除」とは、税金がかかる対象の金額から、一定の金額を差し引くこと。
控除を受けることで、税金の対象となる所得が少なくなるから、支払う税金が少なくなる。
「控除」とは、課税対象の金額などから一定の金額を差し引くことです。
課税対象の金額から一定の金額が差し引かれることにより、課税対象の金額が少なくなり、結果的に支払う税金も少なくなります。
例えば…
- 課税対象が100万円だと、100万円に対して税金がかかってくる。
- でも60万円の控除を受けると課税対象が40万円になり、40万円に対して税金がかかってくる。
支払う税金が少なくなる!
控除は納税者の負担を減らすことを目的とした制度です。
支払う税金が少なくなれば、手取りが増えるので、利用できる控除があればぜひ利用しておきたいところ。
例えば源泉徴収票でよく見かける「所得控除」は、所得全体に税金がかけられるのではなく、一定の控除を行った後の所得に対して、税金がかかるという仕組みになっています。
もし手取りを増やしたいと思ったら、この控除という制度が利用できないか、チェックしてみましょう。
そうは言ってもどんな控除を受けられるの?
じゃあ次は控除の種類について見ていこう!
控除は一定の条件を満たせば誰でも受けることができますので、実は意外と身近なもの。
どんな控除があるのか、控除の種類について見ていきましょう。
所得控除の種類
Point
控除にはさまざまな種類がある💡
どんな控除があるかを知って、ムダなく控除を受けよう🙌
控除を受けることで課税対象金額が少なくなるのですから、受けられる控除はできるだけ受けておきたいですよね。
ですが控除には様々な種類があります。
ここでは14種類の所得控除について、見ていきましょう。
基礎控除
- 基礎控除で受けられる所得控除額:38万円
基礎控除は税金を国に納めていることで受けることができる控除です。
つまり納税者であれば誰でも受けることができるということになります。
基礎控除は所得税や住民税などの額を計算するときに、
収入 - 経費 ー 所得控除 = 課税所得額
で計算されます。
基礎控除はわりとキホン的な控除で、適用されるのは実は「所得税」だけではなく、「住民税」「相続税」「贈与税」など、その他の税金にも適用が認められているもの。
所得控除で受けられる基礎控除は38万円になります。
わたしは会社で年末調整を受けるときに適用されているよ!
基礎控除:国税庁
社会保険料控除
- 社会保険料控除で受けられる控除額:その年に支払った保険料の全額が控除される
社会保険料控除は、納税者本人の社会保険料である「国民年金」や「国民健康保険」「健康保険」「厚生年金保険」を納めたときに受けることができる控除です。
また、納税者本人が配偶者や親族の負担するべき社会保険料を納めたときに受けることもできます。
会社員OLのわたしの場合は源泉徴収のときに社会保険料控除が適用されているよ!
社会保険料控除:国税庁
配偶者控除
- 配偶者控除で受けられる控除額:38万円(70歳以上の場合は48万円)
- 平成30年以降は控除を受ける納税者の合計所得額が「1000万円」を超える場合には配偶者控除の対象外に→配偶者控除を受けることができない
配偶者控除は一定の配偶者がいる場合に税金の控除が適用される制度です。
配偶者に所得があったとしても、配偶者の合計所得が38万円以下であれば控除を受けることができます。
ここが少し分かりづらいのですが、配偶者の所得が「給与所得」だけであれば、その年の給与所得が103万円以下なら配偶者控除の対象となります。
ただし、配偶者に給与所得以外の所得がある場合は要注意。
配偶者の給与以外の所得(不動産所得・一時所得・譲渡所得)の年間の合計所得が38万円を超えてしまうと、配偶者控除を受けることができなくなってしまいます。
給与所得があっても、それ以外の所得があっても、合計所得が38万円以下の配偶者であれば配偶者控除の対象となりますのでぜひチェックしておきましょう。
配偶者控除:国税庁
配偶者特別控除
- 配偶者特別控除で受けられる控除額:最大38万円
配偶者特別控除は「納税者の合計所得金額が1000万円以下」で「配偶者の所得が38万円以上、123万円以下」の場合に「納税者の合計所得」や「配偶者の合計所得」に応じて控除される制度です。
配偶者の所得が38万円以上あって配偶者控除を受けることができない方でも、「配偶者特別控除」で控除を受けることができます。
配偶者特別控除を受けるためには以下の条件を満たす必要があります。
- 控除を受ける納税者本人の合計所得額が1000万円以下
- 配偶者が次の4つの条件全てに当てはまっている
- 民法の規定による配偶者であること
- 控除を受ける人(納税者本人)と生計を一緒にしている
- 青色申告者の事業専従者としての給与の支払いを受けていない
- 白色申告者の事業専従者ではないこと
- 合計所得額が38万円以上で123万円以下であること
配偶者控除と比較すると、配偶者特別控除は配偶者への条件が多めです。
特に青色申告や白色申告は、ネットで稼げるようになった昨今では該当する方も少なくないはずですので、気を付けておきたいですね。
配偶者特別控除:国税庁
扶養控除
- 扶養控除で受けられる控除額:扶養者の年齢により控除額が異なる
扶養控除は納税者が子供や両親を養っている場合に、一定の条件を満たすことで受けることができる控除のことです。
扶養控除によって受けることができる控除額は、納税者の扶養家族の年齢や同居をしているかどうかで金額が異なりますが「最低38万円から」になります。
扶養控除は会社の年末調整や確定申告の手続きで適用することができます。
扶養控除の対象となる扶養家族の条件は以下のとおり。
- 年齢が16歳以上
- 配偶者以外の親族、養育を委託された児童(里子)や養護を委託された老人
- 納税者と生計を一緒にしていること
- 年間の合計所得が38万円以下(給与のみの場合は給与所得が103万円以下)
- 青色申告者の事業専従者として支払いを受けていない
- 白色申告者の事業専従者でないこと
扶養している家族がいる場合は、扶養控除の対象者に該当しないかをチェックしておきましょう。
扶養控除:国税庁
障害者控除
- 障害者控除で受けられる控除額:障害者の障害の程度によって控除額が異なる(27万円~最大75万円の控除を受けることができる)
障害者控除は、納税者本人や納税者の配偶者や扶養親族が所得税の法上で定められている障害者に当てはまる場合に受けることができる控除です。
障害者控除は障害者一人につき「27万円」と定められており、特別障害者に当てはまっている場合は「40万円」の控除を受けることができます。
また、控除が適用される納税者本人や扶養親族が特別障害者であり、納税者や納税者の配偶者や納税者と生計を一緒にする親族が同居を常況している場合は控除額が「75万円」になります。
特別障害者の対象になる人の条件は以下のとおりです。
- 身体障害者手帳に身体上の障害が1級、または2級と記載されている
- 精神障害者保健福祉手帳に障害等級が1級と記載されている
- 児童相談所や精神保健福祉センターなどで重度の知的障害と判定されている
- 複雑な介護を受けなければ生活をすることができない
障害者控除:国税庁
寡婦(寡夫)控除
- 寡婦(寡夫)控除で受けられる控除額:条件によって控除額が異なる(27万円または35万円)
寡婦(寡夫)控除は、婚姻をしていた女性や男性と離婚や死別で別れた場合に、一定の条件を満たしているときに受けることができる控除のことです。
寡婦(寡夫)控除は、控除を受けるために必要な「定められている条件」が難しく、申告をするときに勘違いをしてしまう方が多いと言われている控除のひとつです。
寡婦(寡夫)控除を受けるために定められている条件をよく確認しておきましょう。
- 配偶者が亡くなってから結婚をしていない場合に、扶養親族か子供がいる
- 配偶者と離婚してから結婚をしていない場合に、扶養親族か子供がいる
- 配偶者が亡くなってから結婚をしていない場合に、合計所得金額が500万円以下
なんだか難しく書いてありますが、ざっくり言うと、配偶者と死別した場合であれば扶養親族や子供がいなくても、所得の条件をクリアしていれば「寡婦(寡夫)控除」を受けられるということですね。
ただし、配偶者と離婚した場合は、生計を一緒にしている扶養親族や子供がいる場合のみ「寡婦(寡夫)控除」を受けられるという内容になっています。
勤労学生控除
- 勤労学生控除で受けられる控除額:27万円
勤労学生控除は、学校に通う学生が働いている場合に「給与所得が年間65万円以下」で「給与所得以外が10万円以下」であるときに受けることができる、働く学生の負担を減らすための控除のことです。
勤労学生控除を受けることができる学生の条件は以下のとおりです。
- 学校教育法第1条に規定する学校の学生であること
- 国や地方公共団体、学校法人、医業を行う農業協同組合連合会及び医療法人等が設置した専修学校や各種学校の生徒で、職業に必要な技術を教えるなど一定の要件に当てはまる過程を履修するもの
- 職業能力開発促進法の規定による認定されている職業訓練校で一定の要件に当てはまる過程を履修するもの
勤労学生控除は働く学生の負担を少しでも減るように設置されている控除制度ですが、場合によっては扶養から外れてしまい、逆に税金を多く払うことになる場合もあるため注意が必要です。
というのも、勤労学生控除の条件として「年間の給与所得が65万円以下」というものがありますが、この65万円以下というのは「所得控除で引かれた後の金額」になります。
つまり、実際は「年間に130万円以下」であれば勤労学生控除を受けることができるということになりますが、年間の給与所得が103万円以上になってしまうとそもそも親(世帯主)の扶養から外れてしまうため、税金が増えてしまうケースもあります。
また、勤労学生控除が適用される学校は決められているため、詳しい情報を得るためには各学校へ直接問い合わせて確認するのが確実です。
勤労学生控除は所得控除の中でもあまり聞きなじみのない控除のひとつですが、「働く学生」がいればぜひ知っておきたい制度ですね。
勤労学生控除:国税庁
雑損控除
- 雑損控除で受けられる控除額:下記の計算式で多い方の控除額を受けることができる
①(差引損失額)-(総所得金額等)×10%
②(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
雑損控除は納税者である本人と、納税者と生活を共にしている配偶者(所得が38万円以下)や納税者の親族の日常生活に必要な「家具」や「設備」「衣類」「住宅」などの資産が自然災害や盗難によって損害があった場合に受けることができる控除のことです。
雑損控除は確定申告を行うことが必須の条件になり、一定の金額を納税者の所得から控除できる仕組みになっています。
損失した金額が大きくてその年の所得額から控除をしきれない場合は、翌年以後に繰り越して控除をすることもできます。
その際の繰り越しができる月日は、3年が限度として定められています。
雑損控除は使わないに越したことはない控除ですが、自然災害や盗難で損害があったときのために知っておきましょう。
雑損控除:国税庁
医療費控除
- 医療費控除で受けられる控除額:年間の医療費で10万円を超えた実費分
- 上限額:200万円
医療費控除は、年間で10万円以上の医療費を年間で支払った場合に、納めた税金から差し引かれた分の金額を受け取ることができる控除のひとつです。
医療費控除を受けるためには、誰でも確定申告をすることが必須条件になります。
医療費控除の対象となる医療行為は多岐に渡り、意外にも通院にかかる交通費や妊娠中の医療費なども対象に。
また、生計を一緒にする人の医療費をまとめて10万円を超えれば適用できるため、医療費控除は意外と身近な控除のひとつです。
医療費控除については「関連医療費控除についてざっくりと分かりやすくまとめてみた」で解説していますのでチェックしてみてください。
医療費控除:国税庁
小規模企業共済等掛金控除
- 小規模企業共済等掛金控除で受けられる控除額:掛け金全額控除される(月1000円~7万円の範囲から選択可能)
小規模企業共済等掛金控除は、定められている「共済契約」や「個人型年金」「心身障碍者扶養共済制度」の掛金を支払った場合に受けることができる控除のことです。
小規模企業共済等掛金控除の対象になる掛け金は以下のとおりです。
- 中小企業基盤調整機構と結んだ共済契約の掛金
- 個人型年金加入者掛金
- 心身障害者扶養共済制度の掛金
小規模企業共済等掛金控除:国税庁
生命保険料控除
- 生命保険料控除で受けられる控除額:加入時や保険の種類によって控除額が異なる
生命保険料控除を受けることで、本人が支払った保険料に応じて税金を減らすことができます。
生命保険の保険料を支払っている人であれば、年末調整や確定申告の際に申告をすることで誰でも生命保険料控除を受けることができますので、利用する頻度が比較的高い控除と言えます。
生命保険料控除は以下の3つの区分に分かれており、それぞれの区分で控除を受けることができますよ。
1.一般生命保険料控除
生存と死亡に関係している保険料や給付金が発生する保険で受けることができる。
2.介護医療保険料控除
入院や治療で発生する保険料で受けることができる。
3.個人年金保険料控除
個人年金保険契約の支払う保険料で受けることができる。(適格特約がついていない場合は一般生命保険区分になる)
会社員OLのわたしの場合、年末調整のときに会社に申告をして生命保険料控除を受けており、源泉徴収票にその控除金額が反映しています。
生命保険料控除:国税庁
地震保険料控除
- 地震保険料控除で受けられる控除額:掛け金全額控除(上限5万円)
地震保険料控除は、納税者である本人が定められた損害保険の契約などに関わる自身損害部分の保険料や掛け金を支払った場合に受けることができる控除のことです。
地震保険料控除を受けるためには、確定申告や年末調整のときに地震保険料控除に関する事項を記載して、「控除を受けることを証明する書類」などの添付が必要になります。
地震保険と聞くとマイホームを建てるときに加入するイメージが強いですが、賃貸でも地震保険への加入をしていることがあるため、ぜひ知っておきたい控除のひとつです。
地震保険料控除:国税庁
寄附金控除
- 寄附金控除で受けられる控除額:寄附金額(所得の40%が上限)-2,000円の控除
寄附金控除とは、個人が公益団体に対して寄付を行った場合に受けることができる控除のことです。
よく耳にする「ふるさと納税」も実はこの寄付金控除のひとつ。
寄附金控除は、申告をすることで所得税や住民税を減額することができる制度で、寄附金控除を受けるためには確定申告を行う必要があります。
寄付金控除を受ける際に、気を付けておきたいポイントは以下のとおりです。
- ふるさと納税で寄附金控除を受けることができる
- 寄附金控除は寄付金が2000円以上を超えた場合に受けることができる
- 寄付した団体から交付された寄付金の受領証が必要
寄付金控除の対象になる団体は以下のとおりです。
- 国
- 都道府県や市区町村のふるさと納税
- 日本赤十字社
- 社会福祉法人
- 認定NPO法人
- 独立行政法人
- 公益社団法人/公益財団法人
- 一定の特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭
- 特定の政治献金
寄付金控除はどこに寄付しても受けられるというものではなく、対象となる寄付先の団体が定められていることに注意しておきたいですね。
寄付金控除:国税庁
源泉徴収票の見方もチェックしてみよう
控除にはさまざまな種類がありますが、年末調整や確定申告のときに申請することで適用されるものが多いです。
会社員の場合は年末調整の書類を毎年11月~12月に会社に提出することが多く、そこで提出した内容が源泉徴収票に反映してきます。
控除の内容がどんなふうに源泉徴収票に反映するか興味がある方は、「関連会社員×OLのわたしが源泉徴収票をじっくり見てみた。見方や計算方法を分かりやすく解説するよ!」で詳しく解説していますのでチェックしてみてくださいね。
まとめ:節税をするために「控除」の基礎知識を把握しておくようにしよう!
節約をすることも大切ですが、受けられる控除を利用して、節税もしていきたいですよね。
控除には様々な種類がありますし、条件などで適用される対象が違ってくることもあって難しい内容ではありますが、控除についての基礎知識を持っているだけでも節税を行いやすくなりますよ。
すべての控除について詳細に知る必要はありませんが、「こういうときにこんな控除が使えるんだ!」とざっくりとでいいので頭の片隅に入れておきたいですね。
受けられる控除をしっかりと受けて、節税を心がけていきましょう~!